フェイヨンの隠者 ~年老いた軍師の回想録~
その昔、ラグナロクオンライン(RO)のIris,EirサーバでGvGを戦った、叩き上げの元参謀がフェイヨンの酒場で静かに語る昔話。そして彼がかつて戦場にあった折、経験の中で得た、いくつかの教訓と知識。
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4,永久的な発展-同盟を結びし者たち-(27)
 数分後。
 エンペリウムルームでは、激しい競争が繰り広げられていた。
 無論、誰が一番最初に、この部屋の中央に輝くエンペリウムを己の剣で破壊するか、という競争だ。

「ふむ、今週は何とかなりそうだな…」
 遠目でエンペリウムの戦況を見ていたハンターはつぶやいた。既にハンターのパーティメンバーがエンペリウムに取り付いている。
 だが次の瞬間、彼の背後の廊下の薄闇から、数名の冒険者の影が浮かび上がってきた。
 エンペリウムを破壊しようとやってきたのだろう。大急ぎで走りこんでくるのを、ハンターは気配で感じる。10秒もしないうちにハンターの目の前までたどり着くことは、明らかだった。

「……」
 ハンターはエンペリウムから目をそらすこともなく、おもむろに背中に負ったコンポジットボウを手に取り、代わりに今まで持っていたクロスボウを背負う。イエローライブから削りだした鏃を持つ矢を無造作に矢筒から取り出す。手には数本の矢が握られていた。そのままそれをコンポジットボウに番える。
「…邪魔はさせんよ」
 ハンターは口元に笑みを浮かべると、すばやく振り返って弓を引き絞り、
「アローシャワー!」
 矢を解き放った。
 全ての矢が雨のように冒険者の集団を襲い、彼らは一人残らず矢を体に受けた。そのまま倒れ伏す者、おびえて逃げ出す者もいたが、勇敢な数名の者たちはひとたび足を止めると、再びこちらに向かって走り出そうとした。だが。
「遅いな」
 既にハンターの手元には再び矢が手に取られ、しかも先ほど背負ったはずのクロスボウが目一杯引き絞られていた。人を殺めるためだけに作り出された、まさに血塗られた弓が。
「ダブルストレイフィング!」
 言葉とともに放たれた2本の矢は、一人のウィザードの胸元へと吸い込まれた。彼は胸を射抜かれ、2,3歩ふらついた後、その場に倒れ伏す。即死したのは誰よりもハンター自身が知っていた。

 そのまま彼は目にも止まらぬ速さで、しかし確実に一人づつ弓矢で冒険者を射抜いていった。全ての冒険者の姿が地に伏し倒れ、目の前から消えるまで、彼は表情を変えることなくそれを続けた。
「…よし」
 もはや目の前に誰もいなくなった事を確認して、ハンターは再びエンペリウムの方を窺った。
 ちょうどその瞬間に見えたのは、ハンターのパーティメンバーがエンペリウムを打ち砕く、まさにその姿だった。
「やったか!」
 と思ったのもつかの間。ハンターの周囲に光が満ちる。
 しまった。砦を落としたのは我々のギルドではない。同盟相手ではあるが、私とはギルドが違う。
 そのことに気がついたとき、ハンターの姿は砦内から跡形もなくかき消えていた。
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2006/01/05(木) 16:22:48 | | #[ 編集]
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