フェイヨンの隠者 ~年老いた軍師の回想録~
その昔、ラグナロクオンライン(RO)のIris,EirサーバでGvGを戦った、叩き上げの元参謀がフェイヨンの酒場で静かに語る昔話。そして彼がかつて戦場にあった折、経験の中で得た、いくつかの教訓と知識。
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4,永久的な発展-同盟を結びし者たち-(12)
「…いいんだよ、これで」
「ティメルさん…」
 回想の海から戻ったハンターは、窓の星々を愛でながら、プリーストを慰めた。
「いろいろと思い出していた。結局彼らは、彼ら自身の身勝手さを成長によって克服できなかったがゆえに、この事態を招いたんだ。マスターが責任を感じる必要はないさ」
 やがて窓辺からハンターは視線をマスターに戻した。
「4ヶ月前に予測したとおりではあったが…、私や先代マスターにとっては、一つの時代がこれで終わったと言う感じだね…」
 ふぅ。ため息をついて、ハンターはソファーに身を沈める。
 しばらくの間、どちらもなにも言わなかった。疲労と回想が、二人の間をゆっくりと流れていく。
「さて、と」
 沈黙を破り、再び口を開いたのはハンターだった。
「例のギルドとの連携と、新しい同盟結成の件は順調?」
「ええ、すでに交渉が進んでいます。各ギルドそれぞれパイプがあるようなので、各個に動いている感じです」
「一応、両ギルドの担当者が連れ立ったほうが良いかもね」
「そうですね」
 実務的な問いに、実務的な回答。ギルドが再び回転を始めだす。
「OK、その辺が固まっていれば、後は状況に応じて手を打ちましょうか」
「分かりましたー…、流石にいろいろ動いたので疲れたですー」
「おつかれさま」
「…でも」
「ん?」
「でも、わくわくしてます」
 ハンターはその言葉を聞いて、胸をなでおろしていた。この件を重荷にしてはいけない。我々はむしろ、未来の事を考えるべきなのだ。
 が、その心中とは裏腹に、ハンターは落ち着き払って答える。
「そっか。まぁ、結局はどう転ぶか分からないところではあるけどね」
「ですね。でも、不安って言うよりはワクワクしているほうが大きいですね」
「それは、何より…」
 ハンターは口元に微笑を浮かべて、静かにそう言った。

 こうして、古き歴史は終わり、新たなる時代が幕を開ける。


「…済まなかったな」
 語り終わった後、老人はそういって若者に詫びた。
「同盟の未来に胸膨らませ、期待していたはずであろうお前さんに、同盟の落日について語ることになってしまった。が…」
 老人の表情を覆い隠していた真紅の斜陽は、いつの間にか消えうせている。固唾を呑んで話を聞いていた若者を、老人はまっすぐに見据えた。
「これが、同盟というものの現実じゃ。機構とは、それ自体が力を持っているわけではない。機構に力を吹き込むのは、人であり、また人のありようなのじゃよ。ゆえに、人が機構を正しく掌握し、それをあるべき姿へ進め行く努力をしなければ、砂上の楼閣に過ぎんというわけだ。よくよく気をつけるのじゃぞ」
「…はい」
 ふと気がつけば、日はすでに沈み、窓の外は夜の帳が落ち、ランプの明かりが二人のテーブルを照らし出していた。
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2005/11/02(水) 13:38:52 | | #[ 編集]
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