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フェイヨンの隠者 ~年老いた軍師の回想録~
その昔、ラグナロクオンライン(RO)のIris,EirサーバでGvGを戦った、叩き上げの元参謀がフェイヨンの酒場で静かに語る昔話。そして彼がかつて戦場にあった折、経験の中で得た、いくつかの教訓と知識。
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4,永久的な発展-同盟を結びし者たち-(78)
 「別にわし個人の武勇伝を語ろうと思って、こんな話をしたわけではないんじゃぞ」
 老人は語り終えると、そう弁解した。
 「ええ、分かっています。先ほどまでの7つの鉄則と、その先の事柄がいろいろと学び取れました」
 「それは何より」
 老人はグラスを手に取り、最後に残ったブランデーを飲み干した。
 「今語った同盟とギルドは、現在のこの世界でも有力なギルドとなって残っている。わしがお前さんに伝えたいことの一つは、それほどの大きなギルドでさえ、現在はこの程度の会議統制力しか持っておらぬ、ということじゃ。お前さんがその気になれば、いつでも彼らを駆逐して、取って代わることができるじゃろう」
 「そうなんでしょうか…?」
 「すぐには効果は出ないがの。正しい意思決定の積み重ねが、そうでない者たちとの差を徐々に広げていくことじゃろうて」

 老人と若者は、そこで言葉を切った。
 さすがに喋り疲れたかに見える老人だったが、彼が黙したのは、彼の脳裏に、その後の記憶が、まだ流れ続けているからだった。
 「終わったようだな…」
 ハンター以外のすべての人物が去った無音の間に、静かに響き渡る男の声。
 椅子に一人腰掛けていたハンターの目に、入り口の扉に寄りかかる一人のウィザードの姿が映った。
 「…来ていたのか」
 ハンターの声をきっかけに、そのウィザードはゆっくりとハンターの椅子へ近づく。
 歩きながら、かぶっていたとんがり帽子をはずして手に持った。
 30台…のように見えるが、実際は自分と同じ年の頃であることを、ハンターは知っている。見る者が見れば、ウィザードが手にしている杖が、恐るべき物である事を、彼が放つ魔力の強さが、尋常でないこともまた、理解できただろう。
 伝説の両手杖、ウィザードスタッフを持つその魔導師は、かつてB.Kのギルドマスターをしていた人物だった。

 「久しいな」
 ハンターがかけた言葉に、ウィザードはうなずく。
 「それにしても、あれはどういうことなんだ?」
 ウィザードは突然ハンターに問いかける。
 「既に現役を引退したお主が、会議を仕切るなど。もはや現役の頃の切れもあるまい。隠居は隠居に徹すべきなんじゃないのか?」
 普通の状況で普通の老人に対して言ったとするならば、何の不思議もない言葉ではあった。

 だが。ハンターの反応は、ウィザードの予測を超えていた。
 「…この愚か者がっ! 貴様は一体何様のつもりだというんだ!」
 会議中ずっと冷静だったハンターが、今や全身に怒りをみなぎらせて、勢いよく立ち上がった。
 「本来、私はこのようなことをする必要はなかった。それはたやすい道だっただろう。だが、このまま隠居なのを良いことにして傍観を決め込んでいたらどうなると言うんだ!?」
 ハンターの台詞はあたかもウィザードの肺腑を抉るかのような激しさで続く。
 「他の誰でもない、B.E同盟のメンバー、そしてIllusionやSnowのメンバーたちがつらい思いをする。だからこそ一時の汚名や反発を覚悟の上で、会議の仕方を身を削って伝えたのだぞ!」
 「……」
 「攻城戦においては皆の思いを察し、皆がのびのびと望むGvを実現するのが我々将の勤めだ。余人はともかく、お前さんには理解できると思っていたが…、見損なったぞ…!」
 吐き捨てるように言うと、ハンターはウィザードに背中を向け、羽根帽子をつかんで立ち去ろうとした。

 「…確かに。これは私が間違っていた。お主の言うとおりだ」
 ハンターの背後で、ウィザードが頭を下げた気配を感じた。ハンターはその言葉を聞いて足を止める。
 「私もまだまだ修行が足りないようだ。さすがに、学ぶべきところがあった」
 「…分かってくれたのならいいんだ」
 ハンターは肩をなでおろすと、その言葉とともに振り返る。
 「ま、語るべきことも多くある。後のことは力の余っている若い者に任せるとしよう」
 そして、先ほどの激怒がまるで嘘だったかのように、ウィザードの肩にポンと手を置いた。
 「お前さんが送ってくれたフヘルゲルミルの酒がまだネンカラスには残っていたはずだ。久々にあの逸品を開けて、昔語りでもするとしようや…」
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