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フェイヨンの隠者 ~年老いた軍師の回想録~
その昔、ラグナロクオンライン(RO)のIris,EirサーバでGvGを戦った、叩き上げの元参謀がフェイヨンの酒場で静かに語る昔話。そして彼がかつて戦場にあった折、経験の中で得た、いくつかの教訓と知識。
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編外余録 MMORPGの主人公とは?(6)
 500mlの無糖コーヒーのペットボトルを抱えて、私は会議室に入った。
 すでに部下が座っている。私はテーブルを挟んで部下と向かい合って座った。
 「どこまで話したかな?」
 「アトラクションセンターに通知を送るところまで伺いましたが…」

 「ああ、そうだった。このとき顧客の反応は3パターンに分かれるだろう。2週間以内に弁明をしない顧客。弁明するが明らかに合理的な説明とは思えない顧客。そして、一見合理的に見える顧客の3つだ」
 「えーと。…確かに、それ以外は考えられないですね」
 「前2者に対しては何をするか言うまでもないな」
 「ええ。アカウントBANですね」
 「うむ。問題は最後だ。合理的に見える説明をどうするか。うちとしては、こうした顧客には、直接話を聞く価値があると思っている」

 「直接?」
 「アカウントは凍結されているが、こちらにはそれを解く用意はある。日時を指定して、RO内でチャットによる弁明の機会を与えるようにするわけだ」
 「ガス室(※)でですか?」
 「どこでもいいんだが、妥当と言えば妥当だな。そのときの顧客の挙動と言動を見て、最終的にどうするか考えればよい」

 「なるほど…」
 「ただ、いかに顧客が嫌がろうとも、最終的にはペナルティを課す、という点については最低限の一線だ。少なくとも受領したZenyの数倍のZeny、もしくは相当の装備品の剥奪。あるいはLvの低下まで視野に入れる必要がある」
 「冤罪…を恐れないのですか、部長は?」
 「恐れれば恐れるほど後手に回る。そもそもうちの顧客満足度は、下手な捜査によって冤罪を作り出してしまい、それによって捜査の手が萎縮したところから、低下に歯止めがかからなくなったのだからな」

 無糖コーヒーを一口飲むと、再び私は喋りだした。
 「ここでそれを譲らない理由は、RMTerと付き合うとどういうことになるか、という、ある種の見せしめだ」
 この言葉を聴いて、部下の顔が僅かに歪むのを、私は見逃さなかった。
 「どんなに約款や法律が金科玉条でも、使われなければ犬のフンにも劣るというものだ。遵守されてこそ、法令は意味を持つのだからな」

 「…なるほど。分かりました」
 「しかし、これで終わりではない。次は、ここまででリストアップされたRMT実施者の接続IPをすべてリストアップする。それと忘れるなよ、DNS正引きでホスト名も併記しておけ」
 「…またリストアップですか…」
 「勿論、ネットカフェは除外しておけよ。ネカフェのIPは意味を持たん」
 「という事は…」
 「察しがいいな…」

 私はにやりと笑みを浮かべた。

 (※)Botなどの不正行為を行った疑いのあるキャラクターから、ゲームマスターが直接事情を聴取するための特殊なMAPのこと。
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